2013年11月20日

要件とは何なのか。

法律要件とか、構成要件とか、要件事実とか呼ばれたりします。法律を勉強することの大部分は、この「要件」というものを探求する作業と言えるでしょう。

この、「要件」というものについて、言いたいことを伝えるために何をどの程度記述すればよいか非常に悩ましいのですけれども、せっかちな性分ですので先に結論から申し上げます。

要件とは、


  • 効果を発生させるために必要なもの(代償、条件)
  • 背後に控えている哲学、制度趣旨、法的概念などが可視化されたもの

です。

2013年11月16日

無権利の法理

無権利の法理とは、「誰であっても、自らの有している権利以上の権利を譲り渡すことはできない」という、ローマ法以来の原則です。

通謀虚偽表示に対して第三者が民法94条2項で保護される趣旨を論じるときとか、○○と登記で(形式的には)第三者が不動産を取得できないことを根拠づける際に使います。

2013年11月10日

二重譲渡と登記

「第1買受人と第2買受人との関係に民法177条が適用されるか否かという話だろう?対抗関係にあるから、民法177条が適用される、第1買受人が第2買受人に勝つには登記が必要。以上」このように覚えている人もいると思います。。どんな教科書にも載っているおなじみの論点です。

ですが、無権利の法理登記制度の理想といったキーワードを用いて、問題点の所在を的確に押さえながら議論できますか。意外と難しいのではないでしょうか。不完全物権変動説に頼りきりではないですか?

以下、事例で考えてみます。

事例:甲土地は元Aが所有していた。Xは、Aから甲土地を1000万円で購入したが、移転登記手続はしていない。その売買の数日後、YがAに甲土地を2000万円で購入しようともちかけ、Aはこれを承諾し、同日中に登記も移転した。Yの購入・登記具備を知ったXは激怒した。XはYに対して移転登記の抹消を請求している。この請求は認められるか。

2013年11月5日

即時取得の「占有」。どうして指図による占有移転はイイのに、占有改定はダメなのか

民法192条の「占有」というためには、「一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有」でなければならないとされています(最判S35年2月11日民集14巻2号11頁)。だから、占有改定では即時取得は肯定できないけれども、指図による占有移転ならば肯定できるとされています。


「何が『だから』だよ!説明になってないよ!大体、指図による占有移転も占有改定も自分以外の誰かが占有しているのだから、外観上の違いはないじゃないか!どちらも条文上は『代理人』が占有していることとなっているだろう!」というお怒りの声にも似た疑問をもつ方もいると思われます。

その疑問はもっともです。ですが、やはり、指図による占有移転と占有改定では違うのです。この部分を考えてみます。