2015年11月27日

フルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約のユーザーが民事再生手続開始決定を受けた場合、リース契約を解除したリース会社によるリース物件の返還請求権が民事再生手続において別除権・取戻権のいずれに処遇されるか

東京地判平成15年12月22日(判タ1141号279頁、金法1705号50頁、商法(総則 商行為)判例百選〔第5版〕79事件)を読んで。

フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約は担保?


「リース会社は、契約締結時にユーザーに対して与信した総リース料債権相当額について、ユーザーの信用状態が悪化したときにはリース期間満了前にリース物件の返還を請求することができるとの約定によって、これを担保されているもの」。

「リース会社は、リース料債権を被担保債権とする担保権(別除権)を有するものとして処遇されると解する(いわゆる担保的構成)」。

担保の目的は?


「ユーザーの有するリース物件上の利用権」。

担保の実行方法は?


「担保目的物である利用権をユーザーからリース会社に移転させること」。

または、リース契約の解除(解除によってユーザーから利用権を奪うこと)。

借主の信用状態悪化の際には貸主は無催告でリース物件の返還を求めることができる旨の特約がある場合には、この特約の行使。

リース物件の返還請求は担保権の実行ではないの?


別除権の行使によるものというよりは、別除権の行使によってリース会社に物件の完全な所有権が実現し、この所有権によるものと考える方が正確。

なので、返還請求自体は、取戻権の行使。

(以上)



2015年11月24日

養子が死亡した場合、養親の実子は相続人になるか?

なります(第三順位)。

『注釈民法(24)』208頁に、「養子からみて、養父母の実子は兄弟姉妹である」と書いてあります(「兄弟姉妹」とは、民法889条1項2号の「兄弟姉妹」のことです)。

2015年11月17日

法律上保護された利益説って何?

取消訴訟の原告適格について、判例は、法律上保護された利益説をとっています。

これは一般に、
  1. 当該処分が原告の一定の利益を侵害するものであり(不利益要件)、
  2. 当該利益が当該処分に関する法令の保護する範囲に含まれ(保護範囲要件)、
  3. 当該法令が当該利益を一般的な公益としてではなく原告自身の利益として個別的に保護する趣旨のものである(個別保護要件)、
ときに、原告適格を認めるものです(小早川光郎『行政法講義(下Ⅲ)』257頁)。

(追記するかも)