2014年1月28日

【債権譲渡】代理人として通知するのはよいが、債権者代位によってする通知はダメ

債権譲渡の対抗要件具備は、譲人による債務者に対する通知か、債務者の承諾によります(民法467条1項)。

が、通知によって対抗要件を備える場合、譲渡人がするのではなく、債権の譲人がする場合があります。債権者でなくなる譲渡人からすればわざわざ通知するのは面倒だし、新たに債権者となる譲受人からすれば債権譲渡を確実なものにしたいからです。

で、譲人が債権譲渡の通知をする場合、代理人として通知する方法と債権者代位によって通知する方法(民法423条)の二つがあり得ます。


債権者代位によって通知する場合とは、債権を代物弁済によって取得したときなどが具体例として挙げられます。譲受人が譲渡人に対して債権αを有しており、債権αに対する弁済として、譲渡人が第三債務者に対して有する債権βを譲り受けるのです。譲渡人が無資力である場合、債権αを保全するために、譲受人みずからが、譲渡人がなすべき債権譲渡の通知をしようと考える気持ちはよく分かります。

しかし判例は、債権者代位によって譲受人が債権譲渡の通知をしても対抗要件にならないとしています(大判昭和5年10月10日民集9巻948頁)。

他方で、譲受人が譲渡人の代理人として通知するのは有効とされました(大判昭和12年11月9日。内民Ⅲ203頁参照)。

代理は、代理人に代理権があり、顕名によって代理行為がなされることによって成立します(民法99条)。つまり、債権の譲人が譲受人が通知することを認識しており、それを許しているわけです(通知する代理権が授与されている)。代理によってする通知が有効な理由はこれです。

債権者代位による通知が許されない理由もここにあります。譲渡人の知らないうちに通知がなされるからです。債権者代位権は債権保全の必要性がある限り債務者(債権の譲渡人のこと)の知らないところで行使可能です。そもそも民法467条が「譲人が債務者に通知」した場合に債権譲渡の対抗要件具備を認めるのは、譲渡人以外の者からの通知でもOKとなると、偽の譲受人が現れても対処できないからです。債権者は自分の知らないうちに弁済を受けられないことになるかもしれないし、債務者としても二重弁済の危険が生じます。これを避けるための譲人による通知です。ゆえに債権者代位による通知は許されなかったのです(形式的には債権譲渡の通知は債務者に属する「権利」ではないからという理由)。

以上です。

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