2013年12月17日

刑法答案の書き方

初心者向け。細かいことは度外視して、こう書けば単位を落とさないという観点から答案の書き方を紹介します。



刑法の答案で「甲の罪責を検討せよ」というのは、甲に犯罪が成立するかを検討しろ、という意味です。刑法の答案は、犯罪が成立するかどうかを検討するものです。

犯罪の成立要件は、

  • 構成要件を充足すること
  • 違法なこと
  • 責任があること
の3点です。この要件を充たすと、犯罪の成立=国家の刑罰権の発生という効果が認められます。答案に書くか否かは別として、頭の中では一応すべて検討しましょう。

1  構成要件を充足するか?


構成要件はTbと表記されたります。


(1)  構成要件の客観面を充足するか?


「甲の○○の行為は、刑法××条の『~~』に該当する」というように書きます。

「甲がXの宝石を持ち去った行為は、占有者Xの意思に反して占有を侵害し、宝石を自己の占有に移すものであり、『窃取』(刑235条)である」といった具合です。


(2)  構成要件の主観面を充足するか?


客観面が充足する場合、故意or過失があるかどうかを検討します。

故意があるかどうかは、犯罪事実(客観的構成要件事実)の認識・認容があったかどうかです。行為、行為の主体、行為の客体(被害者・被害物件)、行為の結果を認識・認容していたかどうかを検討します。認識していれば故意ありです。動機があったか否かは故意の成否に直接関係しませんから注意してください。故意を認定する際に動機があったか否かに触れる必要はありません。

過失は、結果の予見可能性、回避可能性、回避義務、の3点を検討します。この3点があれば過失ありと言ってよいです。

構成要件の検討は、必ず客観→主観の順番で行ってください。民法のように要件が充足していればよいというものではないので、主観面から検討するとか、客観面と主観面をごちゃまぜにすると、単位を落とします。

2  違法か


Rとか、Rwと表記されます。

違法性は犯罪成立要件の第2要件です。構成要件に充足するなら違法性があるのが推定されるので、違法性があるか否かの検討は、違法性阻却事由が存在するか否かという検討の仕方をします。

正当防衛や緊急避難が成立するかどうかです。

3  責任があるか


Sと表記されます。

責任阻却事由があるか同かを検討します。

責任能力があるか、責任故意・過失があるかといった検討を行います。違法性阻却事由の錯誤や、誤想過剰防衛、原因において自由な行為などは、責任があるか否かを検討するものです。


構成要件を充足し、違法性阻却事由がなく、責任阻却事由がないのであれば、犯罪成立です。
刑法の答案はある程度機械的に書けます。

特に論点がなく、犯罪成立が明確な場合は、構成要件に充足することをちょっと書いて、違法・責任には特に触れることなく○○罪が成立すると書いてしまって構いません。

教科書を読む際にも、今読んでいる範囲は上の要件のうちどの部分の話なのかを意識しましょう。

今日は以上です。

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