2014年3月5日

債権者代位と当事者適格、二重起訴についてメモ

債権者代位(民法423条)についてメモ。


債務者は、債権者の権利行使につき通知を受けたとき、又はこれを知ったときには、もはや権利の処分ができず、したがって債務者独自の訴えの提起もできません(大判昭和14年5月16日民集18巻557頁)。民法上の制度として第三者による債権行使が認められている以上、債権者代位による権利行使をひっこめさせる理由はないからです。

裁判上の代位による場合には、債務者への通知、債務者による処分禁止効が明文で定められています(非訟事件手続法88条2項・3項)。

債権者代位訴訟がなされたとしても、債務者はその訴訟に独立当事者参加できます(権利主張参加。民訴法47条1項)。債務者は代位訴訟の「目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者」だからです。代位権行使が不適法であれば、債務者の訴えは適法になりますが、代位権行使が適法なら債務者は当事者適格を欠きます(最判48年4月24日民集27巻3号596頁)。

債務者による独立当事者参加は、少なくとも第三債務者に対する給付請求を定立して行われるため、重複起訴の禁止(民訴法142条)にあたるように見えます。が、民訴法142条で禁止される「訴え」にはあたりません。債権者代位訴訟と債務者による独立当事者参加は「合一にのみ確定すべき場合」であり、期日も共通でなければなりません(民訴法47条4項・40条1項ないし3項)。このことから、民訴法142条の趣旨である審理重複の不経済、既判力抵触の可能性、被告の応訴の煩という弊害が生じないからです(上記48年最判)。

以上です。

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