2014年2月15日

訴訟資料と証拠資料って何?

具体例。手元に「民事訴訟第1審手続の解説-事件記録に基づいて-」(以下、解説と表記)を用意してください。

訴訟資料


訴訟資料とは当事者の弁論から得られた裁判の資料のことです。弁論主義第1則は「裁判所は、当事者の主張しない事実を裁判の資料として採用してはならない」ですが、これによると裁判所が裁判資料にできるのは当事者の主張した事実ということになり、つまりこれが訴訟資料です。

解説では、巻末の事件記録9頁~23頁にある訴状、答弁書、準備書面などの書面に記載されています。ここに書いてある事実が訴訟資料です。

これらで主張した事実、すなわち請求原因事実、抗弁事実、再抗弁事実等を証拠によって証明するわけです。

証拠資料


証拠資料とは証拠調べから得られた裁判の資料のことです。証人尋問による証言や当事者尋問による当事者の供述、鑑定による鑑定意見、書証によって得られた文書の記載内容、検証によって判明した検証物の性状や現象などが証拠資料です。

証拠方法から証拠資料を引き出す手続が証拠調べです(中野先生の「民事裁判入門」より。余談ですが、表紙裏、中野先生の言葉「まったく、『汗水たらして法律をやる』以外には、方法はないのです」には励まされます。ありがとう中野先生。

証拠資料の文書には甲○号証とか乙○号証という表示がつきます。解説の巻末事件記録30頁~62頁が証拠資料です。契約書や陳述書、証人調書、本人調書が綴られています。

弁論主義第1則からの帰結として訴訟資料と証拠資料が峻別されますが、これは例えば当事者尋問の中で新たな抗弁を供述しても、それは訴訟資料にならない(裁判所は判決に反映できない)ということです。当事者尋問は証拠調手続であり、そこで得られる当事者の供述は証拠資料にすぎないからです。裁判に反映したかったら後に改めて主張して訴訟資料にする必要があります。なお民訴法157条参照。

以上です。

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