2015年4月28日

責任能力とは何か

「責任能力は、違法行為における意思能力である」と表現されてました(新版注釈民法(1)247頁)。この意味について考えます。

責任能力は、民法上の不法行為責任を問うための要件の一つであり、民法712条、713条に規定があります。「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった」未成年者や、「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある」者が民法709条の要件を充たしたとしても、不法行為責任を負わないとされています。

自分の行為の結果を弁識し判断することのできる能力が意思能力です。意思能力のない人がなした法律行為は無効です。たとえば、成年被後見人と同程度の事理弁識能力しか有しない人が、後見開始の審判を受けていない時に、訳も分からずに契約書にサインしても、その契約は有効に成立していません。

つまり、意思能力を有しない人がなした法律行為は無効です。

これとパラレルに不法行為と責任能力について考えますと、「責任能力を有しない人がなした不法行為は無効(成立しない)」となります。

冒頭の、「責任能力は、違法行為における意思能力である」とはこのような意味です。

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