2014年12月9日

別除権協定について

根拠規定は民事再生法41条1項9号です(条解民事再生法[第3版]224頁)。
 
別除権協定とは、再生債務者と別除権者との間で、一定の条件により別除権の不行使等を約束することです。
 
別除権協定がなされるのは、次のような事情によります。別除権者は再生手続外で権利行使ができるため、再生債務者としては、事業の継続のために必要不可欠な財産に設定されている担保権が実行されると、事業の継続が困難となり、再生手続を遂行できなくなってしまいます。このような場合、担保権の実行手続の中止命令(民事再生法31条)や担保権消滅許可制度(同法148条)を利用することによって、再生債務者は担保権の実行に対抗できます。しかし、中止命令は相当期間担保権の実行手続が停止するだけですし、担保権消滅許可では相当の現金を一括納付する必要があること、事業用資産の所有者が第三者である場合には利用できないことといった難点があります。
 
別除権協定の内容は、①担保物件の評価額を合意し、②同額を担保権者に弁済することと引換えに、③担保権の解除を受けること、および④当該弁済が履行される限り、担保権者が担保実行を行わないことなどとされます(金融法務事情1988号88頁)。
 
さきほどの中止命令は、別除権協定を締結するための時間稼ぎのためになされることもあります。
 
以上です。

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