詐欺罪の客観的構成要件は、①欺罔行為、②錯誤、③交付行為・処分行為、④騙取、⑤財産的損害、⑥因果関係(欺罔行為によって錯誤に陥り、錯誤に基づいて交付ないし処分したという関係にあること)です。
このことについて争われた最決平成16年2月9日刑集58巻2号89頁(刑法判例百選Ⅱ〔7版〕54事件)によりますと、
①=「クレジットカードの名義人本人に成り済まし、同カードの正当な利用権限がないのにこれがあるように装」ったという名義の偽りにより、
②=行為者が名義人であるという錯誤に陥り、
③=加盟店が財物を給付した
ので、加盟店に対する詐欺罪が成立するとされました(被害者は加盟店)。
問題意識としては、
㋐加盟店にとっては、カードが有効であることに主たる関心があり、名義の偽りは、「欺く行為」とまではいえないのでは?
㋑加盟店は実質的な損害を被っていないのでは?特に、カード名義人の承諾があって、名義人が立替払いに応じた場合。判例通説のように、欺かれなければ交付しなかったであろう財物を交付して占有を失うこと自体を⑤財産的損害ととらえるとしても、立替払いがなされたならば、被害者が自らの財産的処分により追求した経済的に重要な目的の不達成(実質的個別財産説)もない。
という点が挙げられてます。
以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿