2013年7月30日

なんで「担保的構成」なの?

所有権的構成と担保的構成。非典型担保の法的構成です。民法や破産法の教科書なんかを読んでいると担保的構成の方が人気のように思えます。

非典型担保のひとつ所有権留保。その名前にもかかわらず、法的構成を所有権的構成とするか、担保的構成とするか解釈の余地があります。

所有権留保とは何かといいますと、買主が代金を弁済し終わるまでは所有権が移転しない(完済までは所有権が売主に留保される)という合意です。特定物の売買は契約時点で所有権が移転することが原則ですから(法176条)、これについての特約というわけです。

所有権留保の目的は代金支払いを担保することです。だから売主に所有権が残っているとはいっても、その所有権は「買主の代金支払を担保するために売主に留保した」所有権なのです。一般的な、使用・収益・処分など、何でもできる権利としての所有権ではないのです。

そうすると、所有権留保の所有権をごく普通の所有権として捉えることには抵抗があります。そのように捉えると売主(代金債権者)は担保の必要以上に強力な権利を与えられているといえるからです。

この権利を担保権者にふさわしいものに限定するために、判例や学説は担保的構成という考え方を生み出しました。つまり、担保のための所有権として考えますよ、という説です。担保的構成の方が担保としての所有権留保の実質にふさわしい(担保なんだから完全な所有権を行使できるとするのは行き過ぎ)と考えるので、担保的構成の方が人気なのです。

この法的構成の違いは、例えば、買主が破産した場合に取戻権(破産法62条)を行使することができるか(所)、別除権(破産法65条1項)を行使できるにすぎないのか(担)にあらわれます。

それでは。

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