既判力の後訴に対する作用は、前訴と後訴の訴訟物が同一である場合(同一)、前訴訴訟物が後訴訴訟物の前提問題となっている場合(先決関係)、前訴訴訟物と後訴訴訟物とが実質的に矛盾する場合(矛盾関係)に認められます。
先決関係があるか否かの検討はどうすればよいのでしょうか。
検討するときのポイントは、「後訴の訴訟物の請求原因や後訴の抗弁事実の中に、前訴訴訟物が含まれているかどうか」です。
典型的な例である、前訴:所有権確認請求、後訴:所有権に基づく所有権移転登記手続請求で考えます。
当事者を原告X、被告Yとします。
前訴訴訟物は、「Xが所有権を有すること」です。Xは、所有権取得原因事実を主張・立証します。
後訴訴訟物は、「XからYに対する所有権移転登記手続請求権」です。
後訴の請求原因は、「Xが所有権を有すること」、「Yが登記名義を有すること」です。前訴訴訟物である「Xが所有権を有すること」は、後訴において、請求原因事実に現れます。前訴の判断が後訴の先決関係に立っているといえます。
前訴基準時でXが所有権を有していたか否かについて既判力ある判断がなされていますから、Xとしては、前訴基準時後に所有権を取得した事実を主張する必要があります。それができない限り、請求に理由がないため、請求は棄却されます。
(ここに述べた方法以外にも、説得的でわかりやすい検討方法があるかもしれません。)
以上、備忘のため。
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