最判昭和41年5月19日民集20巻5号947頁・百選Ⅰ74事件について。この判決は、
ⓐ少数持分権者は、他の共有者の協議を経ないで当然に共有物を単独で占有する権原を有するものではないが、
ⓑ他方、多数持分権者が、共有物を現に占有する少数持分権者に対し、当然にその明渡を請求することができるものではない。
ⓒ「けだし、このような場合、右の少数持分権者は自己の持分によつて、共有物を使用収益する権原を有し、これに基づいて共有物を占有するものと認められるからである」。
ⓓ「従つて、この場合、多数持分権者が少数持分権者に対して共有物の明渡を求めることができるためには、その明渡を求める理由を主張し立証しなければならないのである」。と言っています。
この判決を理解するには、 ⓒの部分が何を言っているのか、を考える必要があります。
ⓒの判示は民法249条を念頭に置いたものと思われますが、考えるポイントは、同条を遺産共有に適用するとき、その「持分」とは、法定相続分に応じたものなのか、具体的相続分に応じたものなのか、です。
ここを押さえると、ⓓの「明渡を求める理由」になるのはどのようなものかも明らかになります。
詳しくは、Law Practice民法Ⅰ(初版)第33問解説(川淳一)を参照のこと。
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