2014年1月20日

逃亡の恐れがあっても保釈が許されなければならないのはなぜか

それが保釈という制度だからです。

逃亡を防ぐのは保釈金の役割です(刑訴法93条)。保釈金が納付された後でなければ、保釈されないし(刑訴法94条1項)、逃げたら保釈金は没取されます(刑訴法96条2項。逃亡以外での没取事由は同条1項参照)。「逃げたら没取」という制裁の下に、被告人の出頭を確保する制度が、保釈です。

原則として、保釈請求があれば保釈は許されます(刑訴法88条1項・89条柱書)。これを権利保釈といいます。89条各号に保釈を許さない事項が定められていますが、その中に「逃亡の恐れがある場合」はありません。逃亡の恐れは被疑者全員にあるといえます。保釈請求があった場合、まず権利保釈に当たるかどうかを判断し、当たらない場合には進んで裁量保釈(法90条)で保釈するかを判断します。

ただし、実刑判決が宣告された後には法89条の適用はないことに注意が必要です(刑訴法344条)。判決宣告によって被告人の逃亡の恐れがより強くなったことによるもので、つまり権利として保釈を請求することはできなくなります。

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