2014年1月8日

賄賂罪の諸類型

シンプルに。

公務員が、職務に関し、賄賂をもらったor要求したor約束した(以下、要求&約束については省略)ら単純収賄罪となります(197条1項前段)。賄賂を受け取るだけで、見返りに何かを約束しなくても、です。これが基本形。

この場合、請託を受けたら受託収賄罪です(197条1項後段)。請託とはある職務行為をするように依頼することで、平たく言えば「おねがい」です。見返りに何かすることをお願いされて賄賂を受け取ったときの犯罪(逆に、公務員の方から「こうしてやるから賄賂をよこせ」と働きかけ、贈賄側が「ありがとうございます。そのようにお願いします」とお願いした場合でも同様。請託と賄賂の前後関係は不問です)。

公務員になる前に、請託を受けて賄賂をもらったら、公務員になった後に事前収賄罪で処罰されます(197条2項)。選挙前にとある病院の売却で便宜を図ることをお願いされ、その見返りとして5000万円を受け取り、その後知事に当選したなどが例としてあげられます(収賄時に副知事だった場合は受託収賄罪)。

公務員自らが賄賂を受け取らなくても、第三者に賄賂を受け取らせていた場合は第三者供賄罪です(197条の2)。見返りに何かをお願いされたが、公務員が賄賂を受け取ると受託収賄になってしまうので、代わりに妻(第三者)に賄賂を受け取らせたという脱法的行為を処罰するための犯罪類型です。

公務員が、賄賂を受け取り(単純収賄罪・受託収賄罪・事前収賄罪・第三者供賄罪を犯し)、その後不正な行為をしor相当な行為をしなかったときは、加重収賄罪です(197条の3第1項)。先に不正行為をしor相当な行為をせずに、後に賄賂を受け取ったときも同様(197条の3第2項)。加重収賄罪は、枉法(おうほう)収賄罪ともよばれます。

公務員だったときに請託を受けて不正行為をしor相当な行為をしなかった場合で、公務員を辞めた後に賄賂を受け取ったら事後収賄罪(197条の3第3項)。

受託・事前収賄罪、第三者供賄罪は請託を受けた公務員自身が不正行為をする(相当行為をしない)場合でした。これに対しあっせん収賄罪は、他の公務員に不正な行為をさせるor相当な行為をしないように取り次いだ場合です。

以上は賄賂を贈られる側の公務員に成立する犯罪です(収賄)。これに対し、賄賂を贈る人は贈賄
で処罰されます(198条)。

今日は以上です。

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