2014年3月25日

行訴法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」の定義をど忘れしたら、行手法2条2号~4号を見よう

「法律学の学習に『記憶する』という要素は不可欠である」し(内民I4頁)、「どうしても覚えねばならない知識もあ」ります(プレップ民法9頁)。



行訴法3条2項の「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」とは何かについて、最判昭和39年10月29日(民集18巻8号1809頁・百選Ⅱ156事件)の判示した
「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」
という定義がそれであることは、覚えておかなければならない知識です。ですが、諸事情によりど忘れすることもあります。

そんなときは、行手法3条2号~4号を見ましょう。同条2号は、「処分」について、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう」としています。同条3号の「申請」は、行政庁が「何らかの利益を付与する処分……を求める行為」であるしており、さらに4号は、「行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分」を不利益処分だとしています。

行手法2条2号の「処分」の定義は、行訴法3条2項の文言と同じです。すなわち、行訴法と行手法が想定している行政庁の処分は同じものです(行審法も同様)。ですから、行手法で処分とされるものは、行訴法でも処分とされると考えてよいです。

百選Ⅱ156事件の判示と、行手法2条2号乃至4号には、共通しているものがあるのが読み取れますでしょうか。「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」という部分は、行手法2条3号の「何らかの利益を付与する処分」と、同4号の「特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分」を組み合わせたものと読めます。

なので、百選Ⅱ156事件の規範を忘れても、あせらずに行手法2条2号~4号から処分の定義を組み立てましょう。重要なのは規範の意味するところですから、判例の文言を一字一句コピーできなくても大丈夫です。

以上です。

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