2014年3月9日

【民事再生】再生債権が確定されるまでの流れ

民事再生手続は、再生債権の個別的権利行使を禁止し、再生債権者を「みんな、これしか払えないけどゴメンね」と平等に取扱い、それで我慢してもらうことで、債務者の再生を図ります。なので、対象になる再生債権(民再84条1項)を確定する必要があります。

再生債権が確定するまでの流れをメモ。

①公告・通知によって再生手続開始決定を知る


再生手続開始が決定されると(民再33条)、その旨が公告され、知れている再生債権者に通知されます(民再35条1項・3項)。この公告・通知によって、債権者は再生手続が開始されたことを知ることができます(同時に、「あの野郎、倒産しやがった!!」と憤慨して押しかけたりします)。

公告・通知事項には、債権届出期間も含まれています(民再34条)。この期間を通知する意味は、「全額を弁済することはできないですけど、少しなら払いますので、お手数おかけして恐縮ですが、再生債権を有している方は○○日までに届け出てください。」というものです。

②再生債権者の届出、再生債務者による認否書の提出


ゼロでないだけマシか、少しでももらっておくか、と考える「再生手続に参加しようとする再生債権者」は、自分の債権を届け出ます。届出先は債務者ではなく裁判所なので、債権が「再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」であることが説明できるように、届出債権の内容・原因を明らかにして届け出ます(民再84条1項・94条)。

再生債務者は、届出があった債権が本当に自分が債務を負っているものかをチェックし、また届出はないけどあの人の債権もあったな、といったことを記載した認否書を作成・提出します(民再101条)。

③調査

③-1  異議等なし→確定


届出られた債権、認否書に記載された自認債権は、裁判所によって調査されます(民再100条)。

再生債務者が自認し、届出債権者の異議がない債権については、再生債権として確定します(民再104条)。ここで債権が確定すると、その債権についての「再生債権者表の記載は、再生債権者の全員に対して確定判決と同一の効力」が認められます(同条3項)。

③-2  異議等あり→再生債権査定の裁判


債権の調査は、再生債務者等作成の認否書、再生債権者・再生債務者の異議に基づいてします(民再100条)。

再生債権者は認否書を閲覧できます(民再規則43条)。閲覧の結果、他の届出再生債権や自認債権の内容について、書面で異議を述べることができます(民再102条~103条の2)。この異議は、異議の対象となった債権を有する再生債権者に通知されます(民再規則44条)。

異議が出たり債務者が認めない債権は、確定しません(民再104条1項参照)。再生債権として確定しないと手続に加われないので、改めてチェックして再生債権かどうかを確定する必要があります。その手続が再生債権査定の裁判です(民再105条)。認否書を確認してみたら債務者が認めていなかったと知った債権者や、異議の通知を受けた債権者がこれを申立てます。

認否書を閲覧できること、異議が通知されることは、査定の裁判を申し立てる機会を保障するためです(手続保障マジ大事)。

③-2-1  査定の裁判に対して不服なし→確定


査定の裁判では異議等のあった再生債権の存否・内容が定められます(民再105条4項)。この裁判に対して不服申立てがなかった場合、その内容で確定します(民再111条2項)。

③-2-2  査定の裁判に対して不服あり→異議の訴え


査定の裁判は、異議等のある再生債権の債権者が原告となり、再生債務者等・異議を述べた再生債権者の全員が被告となり(民再105条1項)、これら当事者に裁判書が送達されます(同条6項)。この裁判書を読んで、査定の裁判によって定められた再生債権の存否・内容に不服のある人は、異議の訴えを提起することができます(民再106条1項)。この訴えでは、再生債権者と異議者等(の全員)が当事者となって(同条4項)、査定裁判をそのまま認可するか、それとも変更するかが争われます(同条7項)。問題となっている債権についてすでに訴訟がなされている場合には、それを受継して確定手続に利用できます(民再107条)。

この訴えによって、異議等のあった再生債権は確定します(民再111条1項)。

再生債権確定の効果


再生債権として確定すると、再生計画に従って弁済を受けることができます(民再186条)。

再生債権者表の記載、査定の裁判、異議の訴えの判決は「確定判決と同一の効力」を有します(民再104条3項・111条)。これは、再生債権の存否・額について既判力・執行力が生じることを意味します。したがって、再生債務者等が計画上の債務を任意に履行しない場合には、再生債権者は再生債権者表に基づいて強制執行することができます。ただ、強制執行できるのは再生計画によって権利変更を受けた範囲であることに注意。

以上です。

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