2014年3月29日

行政手続法の適用除外が規定されていることが、処分性を肯定する理由となるのはなぜか

「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行訴法3条2項)とは、「公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」といわれます(最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁・百選Ⅱ156事件)。

この処分性を肯定する形式的理由として、個別法に行政手続法の適用除外の定めがあることが挙げられます。どうしてこれが処分性を肯定する理由となるのかよく分からなかったのですが、最近分かるようになったので、備忘としてメモしておくことにします。


行政手続法は、「処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続」に関して共通する事項を定める法律です(1条1項)。この中の「処分」、すなわち、「申請に対する処分」と「不利益処分」がなされるときには、行政庁は、理由の提示を要求されたり(8条・14条)、公聴会の開催に努めなければならなかったり(10条)、聴聞手続・弁明の機会を用意しなければならないと定められています(15条以下)。

このような手続が要求されるのは、「行政庁の処分その他公権力の行使」に対してです(行手法2条2号)。つまり、行政手続法が適用されるのは、問題となる行政庁の行為が処分性の認められる「処分」であることを示しています。

そうすると、当然のことながら、処分性が否定される行政庁の行為には、そのことを規定するまでもなく、行政手続法は適用されません。つまり、個別法がわざわざ行政手続法の適用除外を定めているのは、個別法の対象となる行政庁の行為は処分性の認められるいわゆる「処分」なので、本来は行政手続法の適用があるのだけれども、諸般の事情により行政手続法は適用しないよということを表しているにほかなりません。

この点をとらえて、行手法の適用除外規定は処分性肯定の理由となるといわれます。

審査請求等の不服申し立てを認める規定が個別法定められていることも、同様の理由から処分性を肯定する事情となります。審査請求等の不服申し立ての対象は「処分」であり(行審法2条参照)、この「処分」はいわゆる行政行為のことを指すからです。

行政手続法の適用除外の定めの例として、供託法1条の3、審査請求を認める個別法の規定として同法1条の4参照。なお、百選Ⅱ155事件(最大判昭和45年7月15日民集24巻7号771頁)参照。

以上です。

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