2014年3月28日

行政文書の開示義務

原則として、行政文書の開示請求は認められます(行政機関の保有する情報の公開に関する法律〔情報公開法〕5条柱書)。行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければなりません。

例外的に、行政文書に不開示情報が記載されている場合にのみ、開示されないにすぎません。以下、不開示情報について。情報公開法5条を整理するための記事。

個人情報(1号不開示情報)


  • 氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することで特定個人を識別することができることとなるもの)
  • 特定個人を識別することはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそれのあるもの
です。個人情報といっても、事業を営む個人の当該事業に関する情報はこれには当たりません。

また、個人情報であっても、次のものは不開示情報には当たりません(1号ただし書)。
  • 法令の規定によりor慣行として公開される情報、公開が予定されている情報(イ)
  • 人の生命、健康、生命または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報(ロ)
  • 当該個人が公務員、独立行政法人の役員・職員である場合に、開示請求に係る情報がその職務の遂行に係る情報であるときの、職務・職務遂行の内容に係る部分(ハ)

法人情報(2号不開示情報)


法人その他の団体に関する情報、事業を営む個人の当該個人に関する情報で、次のイ、ロにあたるもの。

  • 公開することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(イ)
  • 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等または個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの(ロ)

法人情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は、不開示情報となりません(2号ただし書)。

国の安全等に関する情報(3号不開示情報)


公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報。

公共の安全等に関する情報(4号不開示情報)


公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧または捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報。

審議・検討・協議に関する情報(5号不開示情報)


国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討、又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益をおよぼすおそれがあるもの。

事務・事業に関する情報(6号不開示情報)


国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次のイ~ホのおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの。

  • 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ(イ)
  • 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ(ロ)
  • 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ(ハ)
  • 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ(ニ)
  • 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ(ホ)

もう一度確認。

原則として、行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければなりません(情報公開法5条柱書)。

例外的に、行政文書に以上の不開示情報が記載されている場合にのみ、開示義務を免れます。

以上です。

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