2014年3月10日

手形法・小切手法の勉強について

司法試験的には、手形法・小切手法は民事系の短答式試験に2問ほど出題されるだけです。

論文試験で手形法・小切手法がそれのみで問われることは、おそらくありません。手形法・小切手法の授業を未修者コースの1年次に置いてあるロースクールでは、手形法・小切手法の講義を聞いたことがない既修者もいることでしょう。

なので、手形法・小切手法の学習はしない(切った)という話もよく聞きます。

でも、手形法・小切手法って、他の法律を勉強しているときに、割とちょこちょこ出会います。民事訴訟法の手形訴訟のところとか、破産法15条2項の支払停止は手形の不渡りの事例とか、会社法356条の利益相反取引の制限に関する重要判例で手形振出しが「取引」にあたるかが問題とされたりとか。こういうとき、「うわあ、手形小切手かよ・・・」と感じてしまい、必要以上に抵抗を感じてしまいます。

手形理論にどっぷり浸かって手形法・小切手法を勉強するほどの時間はないけれども、手形が出てきてもビビらないくらい程度にはなりたいと思っていました。で、
支払決済法 読んでみました。これイイです。

本文が200頁ありませんし、余白が大きいので1日で読めます。「どのようなルールになっているのか、なぜそのようなルールになっているのか」に特化しています。「なぜ」の部分はリスク管理という観点から説明されており、規定の趣旨や判例の利益衡量が非常に分かりやすい。

全体は252頁ですが、巻末資料が50頁以上あるので、本文は188頁です。その中で手形法・小切手法の解説は100頁ほどです。本書は電子マネーや銀行振り込み、クレジットカードについても解説がなされていますが、これがまたありがたい。民法で誤振込みの論点を勉強しますが、銀行振り込みの構成を知らないとそもそもお話になりません。でも、わざわざ銀行振り込みついて勉強しませんでした。思わぬ拾い物となりました。

本書は入門書として最適です。

というかですね、手形や小切手なんて使ったことないでしょう?だから知らないんですよ。会社法も具体例が想像しづらいですけど、分からない具合で言ったら手形法・小切手法のほうが段違いです。それなのに、有価証券理論とか手形理論とか抽象的な議論をぶつけられてもちんぷんかんぷんです。それが面白いんでしょうけど。未習1年の前期に講義受けても分かりませんて。というわけで挫折していました。手形法・小切手法アレルギー発症です。

本当にお勧めしたいのは、私と同じように挫折した人です。ロースクール卒業前に図書館で借りて読んでみることを強くお勧めします。手形法・小切手法がすいすいわかりますよ!

手形理論の説明は一切ないので、理論的な記述を期待する人は買わない方がよいです。

手形法・小切手法の勉強は、これ1冊でイイと思います。

0 件のコメント: