2014年2月7日

【刑事裁判】証拠となる被害者の意見、証拠とならない被害者の意見

被害者の意見陳述は、刑訴法292条の2 or 刑訴法316条の38がその根拠です。

刑訴法292条の2に基づく被害者の意見は証拠になりますただし犯罪事実の認定に関する証拠にはできないので(同条9項)、量刑の一事情としての証拠です)。

この規定が証拠調べを定める刑訴法292条と論告・弁論を定める法293条の間に位置していることからもわかる通り、ここでの被害者の意見陳述は証拠調べ手続の一環です。ですので、証拠とすることを前提としています。量刑事情としての被害者の意見(というか処罰感情)はどこかで法廷に提出されるべきですが、刑訴法292条の2はその場を保障するものといえます。だから証拠になります。

対して、刑訴法316条の38に基づく被害者の意見は証拠になりません(同条4項)。

被害者参加制度の一環として行われる被害者の意見陳述は、刑訴法293条1項に基づく検察官の論告の後に行われます。論告は証拠調べが終わった後になされるもので、検察官の意見を表明する手続です。ここでの被害者の意見は、検察官の論告と同様、裁判所に対する意見表明にすぎません(弁論手続の一環)。証拠を提出する手続ではないことに注意すべきです。だから証拠になりません。

以上です。

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